優性思想

優性思想とは優れた遺伝子を残すために障碍者などの劣ると見なされる人々を淘汰することを肯定した思想である。
淘汰される対象は障碍者の他に特定の民族も含まれていて、ナチスドイツがこれを実践したことで有名だ。
当然現代では否定されていて、このような思想を持つ人は極めて少ない。

しかしながら、先日障碍者入所施設で大量殺人事件が起こった。
犯人の言い分として「障碍者なんてこの世からいなくなればいい」とのことである。
まあ、確かに障害なんてこの世からなくなればよいだろう。
しかし障碍者がこの世からいなくなることを要求するのならばそれは優性思想である。

さて、この犯人は大麻を使っていたことがわかっている。
しかし、薬物中毒は見方によっては精神障害ではないか。
そうであれば犯人は自ら破滅願望を実行に移したと考えられる。
優性思想を持っているならば自らを殺人犯として社会的に抹殺することを望んでも不思議はない。

自分は彼に対し是非の判断を下そうとか、裁きを求めるような意図はない。
ただ思うのは鬱病は優性思想を含む場合があるということを主張したいのだ。
鬱病は度々自身に対し否定の感情を抱く。
「自分はダメなやつだから死んだほうがいい」とか「何もできない自分なんて消えてしまえ」とか言ったものである。
これは見方を変えれば優性思想を包含していないだろうか。
自分のような精神障碍者は淘汰されるべきと考えてはいないだろうか。

私自身、鬱病の己に優性思想が潜んでいることを否定することはできない。