覆水盆に返らず

見てしまった猫の死骸は変えられない。
投げられた賽は振り直せない。
照らしてしまった部屋は覆いきれない。

拾い上げたご馳走が笑顔をくれることはなく、
破れた鏡は別の景色をうつす。
流れる血と水は大地を潤し、
穿たれた穴は塞ぎきれない。


恨み言を吐きたいわけではない。
ただ離反するのみである。